術後食道検査は、バリウムを飲んでⅩ線写真を撮り、術後食道の状態を観察するのが目的である。手術直後の食道検査では、医師の立ち合いもあるので、ほとんど問題はない。しかも、ここで使用される造影剤は、水溶性造影剤(ガストログラフィン)である。しかし、数か月後の検診では特に指定されてはいないためバリウムを使用すことになる。そしてバリウムが気管に入った時、放射線技師は初めて術後食道であることを知るのである。
手術後の食道検査とは
術後の食道検査は、食物の通り具合や、手術後の食道のつなぎ目の確認が主たる目的である。手術直後は医師が行うのですが、検診では放射線技師が行います。この検査時に診療記録は技師の手元にはありません。そのための、バリウムが正規の食道を通らずに気管に入ってしまう場合があるのです。これを防ぐには、気管に入っても安全なガストログラフィンを使用することです。
ここで術後食道と書きましたが、手術にはいくつかの方法があります、簡単に言えば内視鏡で行う方法(ステージ1or2)の場合、開腹で行う方法(ステージ3~4)があります。これら2つの手法は同じではありません。放射線技師は患者さんの過去の診療記録を見ながら検査しているわけではありませんから、患者さんがどのような手術をしたかわかりません。医師からの簡単な指示に基づいて検査を行っているのです。もちろん病院内で行う食道検査の場合は、時間も十分ありますし、看護師も検査室に在住しています。ですから患者さんの状態、手術の有無をを問いながら検査を行うことができます。とはいえ、詳細についてはわかりません。特に注意すべきことは、嘔気発作の有無です。
食道がん術前の放射線療法とは、
ステー3ないし4の食道がんに対して術前に放射線療法を行います。目的は治癒する確率を高めることです。最近では、ステージ1でも、放射線療法を行うという報告もあります。広範囲の食道がんであったり、転移が疑われる場合に行われます。目に見えない小さながんの広がりを抑え、再発、転移を防ぐのが目的です。その結果、手術範囲は狭くなりますし、外科的負担も少なくて済みます。ただ問題もあります。我々正常者は。ものを食べたり、飲み込んだりする際、気管に入らないようにするなどと確認はしません。それは、ものを飲み込むと同時に喉頭蓋が働き、ものを飲み込む入り口を蓋する役目を司っているためです。つまりバリウムが気管に入るということは、喉頭蓋が十分に機能しない状態だと言えるのです
検査中の問題点はどこにある
いくつかの質問を終えた後、検査を始めるわけですが、注意なければならないことがあります。特に問題がないと判断すれば、検査を開始します。飲んだバリウムが消化器官へ流れていくがどうかの確認です。間違えて、気管へ流れていかないことの確認です。口答での確認に限界があります。そこで、放射線技師は通常のバリウムの量ではなく、それよりも少ない少量を一口飲ませるようにいたします。その時点で気管に流れていくのを確認したならば、即中止といたします。なぜ気管に流れていくのか。手術をしていない患者もしくは受検者にはほとんど起こりません。気管に流れることを想定した検査を行わなければなりません。ですから通常、受検者さんの飲んでいただくように指示を出した後、気管に入っているのを見て、慌てふためくことがあるのです。ただ気管にバリウムが入って患者さんが呼吸が苦しくなって、悶えるようなことはありません。ただ、受検者から、バリウムを飲んだ後の気分について感想を求めると、少しは違和感を感じることはあるそうです。
術後食道の検査はどうすれば良いのか
検査指示を出しているのが、医師であるのでバリウムが気管に入っていることを確認した時点で、検査を中止し、指示を出した医師に連絡を行います。受検者に対しては、簡単な説明を踏まえて気管に入ったバリウムを吐き出すよう指示を出し、受検者の背中をたたきます。これによってバリウムが外に排出されることはほとんどありません。
通常、消化管検査においてはバリウムを用います。例外として消化管穿孔や、消化管閉塞が疑われる場合にはガストログラフィンを用いるとされていますが、誤飲した場合についてはコメントはありません。それでは、”受検者はなぜ誤飲するのか”、高齢者は食事や飲料を飲む時、誤飲する方がいます。彼らは、自分が誤飲する可能性を知っているので、若い時のような飲み方、食べ方をしません。ところが、食道手術を終えた方は、退院前に食事の訓練を受けているとはいえ、手術前と同じように食事をとられます。そこで誤飲事故が起きるのです。
そこで、検査ができて受検者に負荷を及ぼさない方法は、バリウムではなくガストログラフィンを用いることである。がストログラフィンは水溶性であり、気管に入っても気管内で吸収させるので問題が起きません。
ただ問題がないわけではない。薬価比較をしてみるとバリウムは1gあたり1.4円~1.6円100g使用すると140円~160円であるが、ガストログラフィンの場合は1ml値23.4円100mlで2340円となる。それでも内視鏡検査よりは安い。私は食道の術後確認だけであるならば、がストログラフィンに使用を推奨する理由である。
