小児股関節の疾患といえば、股関節脱臼が思いおこされると思います。治療方法としてはリーメン装具を使用した手法が一般的であります。年齢が重なれば病院へ入院し、けん引するといった方法がとられる場合もあります。ここで問題としているのはⅩ線検査において防護の是非であります。数十年前までは股関節撮影においては必ずと言いていいほど生殖腺防護がなされておりました。ところが近年になって米国放射線学会、日本放射線技師会が”股関節撮影に防護は必要ない”という見解を表明いたしました。もちろん、これを聞いた母親が納得するのであれば問題はないのですが、納得できないという意見が多く聞かれたのです。ここでは論理的に防護不要論を述べますが、同時に母親が納得できる方法を提案したいと思います。
股関節Ⅹ線撮影の必要性
股関節撮影には、防護が必要な場合と不必要な場合があります。それを判断できるのは医師だけです。放射線技師にはそれはできません。プロテクターを不必要というのであれば、それなりの理由があるはずです。医師に、放射線に課する不安をぶっちゃけてください。優しく説明してくれるはずです。この記事には、プロテクター不要の場合の事例をいくつか載せておきました。
股関節脱臼は3歳から5。歳までの女子に多く、男子の10倍と言われております。股関節の脱臼発生率は約0.1%と言われ、、環境因子が主たる原因であるといわれています。他にも生まれながらに股関節が外れやすい体質であったり、家庭歴にも影響があると言われております。最初の新生児検診で見つかる場合も多いのですが、母親からの相談で「左右の足の長さが違う」とか「左右の筋肉の硬さが違う」などから発見される場合もあります。
治療方法は、リーメンと言われる装具を使用し、治療を開始いたします。乳児の場合は、この治療方法でよいのですが、幼児になるとこの方違法では無理であり、病院でのけん引による治療となります。普通に歩いていた子供が急に足を引きずるようになったり、痛がったりした時には、より注意しなければなりません。このような時に母親は整形外科に駆け込むのですが、小児股関節を専門としている病院でなければわからないこともあります。ただ単純性股関節炎は、インフルエンザの後遺症でウイルスによって感染するパターンが多い反面、自然治癒するパターンが多いのも特徴です。
股関節疾患における放射線防護をしていた時代
当時は放射線技師との医師のコミュニケーションが不十分で、一方的に股関節には防護するよう指示を受けていた。その結果、骨折による骨片の見逃しを見逃すこともあったと言われています。またペルテス症による骨の構造タ、大腿骨骨頭すべり症の初期症状も同様でありました。また放射線技師の撮影テクニックも不十分で、経過観察の患者に対し、少しでも股関節がプロテクターによって覆われてしますと,躊躇なく再撮影をすることもあったのも事実です。これは、技師の撮影技術の未熟さによって被ばく線量を増やすという結果になっていました。そうしたことから患者さんが受ける不利益を減らすという背景からプロテクター廃止の方向へ向かったと考えられます。
近年における股関節生殖腺防護
股関節の生殖腺被ばくにおいて,是非を論じるのであれば、米国放射線学会、日本放射線技術学会の声明文が出されているとから,一旦は放射線防護に目を向ける必要はあります。ただ、通常の股関節撮影のプロテクターを廃止するというだけでは、患者側の視点からは何も語られていないも事実であります。放射線防護は患者側からの心理的要因と医師側からの医療要因について検討しなければなりません。論理的な説明を加えるならば、現在のX線装置は昔に比べて、少ないⅩ線量で鮮明なⅩ線写真を提供しています。さらに、照射する範囲もコリメータ(散乱線防御装置)によって、適切な範囲が設定され、生殖腺の影響を小さくできるようになりました。とはいえ、患者さん側に被ばくに関して少しでも不安がありようであれば、防護プロテクターをつけるように要求することはできます。その理由は、Ⅹ線が見えないこと、色もつかないこと、匂いもつかないことにあります。こうしいたことが患者の心の中の不安を助長されていると思うのです。
医療機関に生殖腺防護の要望を出すことに不安があるのですが、
放射線技師に話すよりも前に、医師に直接被ばくに関する不安を伝えることです。医師は、もし拒否するのであれば、「〇〇の可能性があるので、プロテクターを付けないでください」というはずですし、不必要であれば「そうですね。技師さんにつけるように言いましょう」と言ってくれるはずです。これは、決して患者側の考えを軽視しているわけではなく、安全よりも医療の考え方を優先させたと考えるべきでしょう。現在は、インフォームドコンセントが重要視される時代にって来ています。なんでも、何度でも医師や、放射線技師に説明を求めることです。

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