これから上部消化管検査を受けようとしている方々は、きっと悩んでいることでしょう。内視鏡にするとお金がかかるし、無料のバリウム検査では癌を見逃されそうだしーーーー。そんなことは決してありません。癌はバリウム検査でも見つけることはできます。ただモニター上で見えても、リアルタイムなのでⅩ線写真にできないこともあるのです。それを踏まえて内視鏡か、バリウム検査のどちらのすべきかをアドバイスいたします。
早期食道がん検査の現状
現在のバリウムによる検査法では、食道がんは見つからないという報告がありますが、そんなことはありません。ただ食道がんが映っていても、食道はモニター上では、リアルタイムで映っているので、それを写真に残せないことがあるのです。しかし、病院にもよりますが、放射線技師には報告義務を業務の一環としているところもあるのです。
内視鏡による検査は医師と検査技師(または看護師)で行う場合が多いのです。それに対し、バリウムによる検査の多くは、診療放射線技師によって行われ、撮影された画像によってのみ医師が診断を下しているのです。最近では病院での上部消化管検査においては医師は内視鏡検査に軸足を移しており、バリウム検査を行うのは放射線技師であり、その画像の読影、診断に重点を置いているのが実情であります。また、病院でのバリウム検査と検診におけるバリウム検査では、検査方法に違いがあります。病院での検査は鎮痙剤を注射できるし、補助する看護師も付き添ってくれます。それに対して検診の場合は技師が患者の呼び出しを含め一切の業務を併用して行っています。
バリウム検査での食道検査の手法
バリウムによる検査方法は、胃と食道のがんの発見を目的としています。初めに発泡剤(気泡を生じさせるために添加される薬剤の総称)を飲んでいただき胃を膨らませて、それからバリウムを飲みⅩ線造影撮影を行います。食道撮影の場合はバリウムを飲んだ時、食道が膨らんだタイミングで撮影を行います。タイミングは早くてもダメですし、遅くてもダメです。それには理由があります。この方法ではゲップ(曖気のこと)が出てくる噴門部(胃の入り口の部分)と口から飲んだバリウムがマッチングすれば食道が膨らみ、粘膜が観察できることもあります。
消化管を専門とする医師は患者に鼻からチューブを入れてバリウムと空気を同時注入して、食道の粘膜像を得ることができます。しかし、技師はチューブを入れることは認められてはいませんし、検診という短い時間では無理があります。つまり、こうした検査方法では食道の粘膜像を得ることはほとんど無理があり、食道の辺縁しか映し出すことができません。よって辺縁で診断できるのは食道がんステージ(進展度、重症度を示す)3または4の進行がんということになります。
つまり、バリウム検査において、早期食道がんの発見はかなり難しいということになります。放射線技師は診断をすることはできません。ただし、読影することは可能です。写真に映らなくても、モニターに映った一瞬の画像をチェックしたとしても、それを患者さんに言うことはできません。病院によっては、医師への報告が義務ずけている病院もないわけではありません。しかし、一瞬であるだけに、見逃しも起きます。それがバリウム検査の最大の欠点だと思います。
バリウム検査によっる早期食道がんを発見するための放射線技師の裏テクニック
しかしながら、我々放射線技師も手をこまねいているわけではありません。全患者さんに行っているわけではありませんが、発泡剤を通常の1.5倍ほど飲んでいただき、ゲップをしやすくするする方法をとることもあります。(検査の始める前に申告のあった受検者)すべて成功するわけではありません。かなり運に左右されます。患者さんに負担をかける割には効果は低いのであります。しかし、写真には映らなくてもモニターに映った画像を放射線技師は見逃しません。技師の目を通して、内視鏡に回していただくことはあり、医師と放射線技師のコンビネーションがかなり重要であります。
早期食道がんがバリウム検査で見つからないならばどうすべきか?
バリウム検査で早期食道がんが見つからないのであれば、どうするのがよいのでしょうか。お金がいっぱいある人は、年一回は内視鏡による検査を受けてください。時間がない人、お金がもったいないという人、内視鏡は苦手だという人は、自分の食道を自分自身でチェックしてください。胸に痛みがある、食べ物が呑み込めない、胸がつかえる、声がかすれる、冷たいものがのどにしみる場合には、今日中に消化器内科の門をたたいてください。また、あなた自身に自覚症状がなくてもあなたの嗜好品、食べ物、飲み物についても確認してください。。もしあなたがお酒が大好きだったり、たばこを吸うので誰あれば、お金がなくても年一回は内視鏡を受診することを勧めます。
参考までに食道がんになるのは、酒やたばこだけではありません。熱いお茶、辛い食べ物、塩分の多い食べ物などにも注意が必要であるといわれております。最後のちょっとしたヒント。検査の直前、放射線技師さんに向けて、「最近、ものを食べるとき、むせることがあるんだけどーー」と言ってみてください。撮影を担当する放射線技師さんは、目を凝らして撮影すると思いますよ。ただし、放射線技師は診断することはできませんので、結果を教えてはくれませんよ。

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