乳腺は乳腺専用装置で撮影される。通常用いられているⅩ線装置ではコントラストが付かず乳腺組織と、脂肪組織、乳がんとの区別がつかないためである。そこで、Ⅹ線を照射する電圧をできる限り下げて、かつ乳房を圧迫することにより撮影される。それでも見逃しや、ブラインドエリヤの存在が認められているため一部分を拡大した圧迫拡大撮影なるものが行われる。また、乳腺被ばくについてもいくつかの報告がある。その一つとして米国からの報告が興味深い。40歳未満の女性はⅩ線撮影を制限するというものである。この論評の評価はともかくとして、女性側に立って被ばくのリスクについて考えてみたい。
なぜマンモグラフィー(乳房専用Ⅹ線検査)がⅩ線被ばくの対象になるのか
乳腺癌は女性に起きる疾患である。乳房撮影に使用されるⅩ線機器は乳房専用装置である。その理由は低電圧を使用して、撮影するためである。低電圧で撮影する理由は、コントラストをつけやすくするためである。普通のⅩ線装置を使用して乳房の写真を撮ると乳腺組織と、脂肪組織の区別が付きにくく、かつ癌との区別ができません。乳房専用装置の特徴は、拡大ボケを防ぐために撮影間距離を短くし、撮影時間も短くしているのです。そうすることによってⅩ線量を減らすことが可能となるのです。
乳腺撮影方法とは
撮影には、患者の体動によるボケを最小限にするために乳房の圧迫を行います。問題は圧迫することにより患者が痛がることです。そのため検査が初めての患者には丁寧に説明いたします。にもかかわらず、“痛い”を連発する患者に対しては、途中で中止、もしくは圧迫の程度を弱くする場合もあります。それは癌をも逃すことにもなりますので、患者の状態を見ながらギリギリまで圧迫を行います。圧迫を痛がる理由には他にもあります。患者の肋骨に圧着版がこすりつけられ、皮膚のみが引っ張られる場合があります。これは、放射線技師テクニックによる差です。「あなた下手だから担当変わって」とは言いにくいクレームではあります。撮影方法においては正面と斜位の2方向の写真を撮ります。この2方向の写真で不十分と思われる場合には、圧迫拡大という手法を用います。圧迫拡大の目的は乳癌の見逃し防止です。圧迫には、乳頭を中心にして前に引き出し、薄い状態にします。正面の場合には、左右に見逃しの可能性を残しますし、斜位の場合は大胸筋、および乳腺下部に、見逃しの可能性を残します。そこで、この部分をブラインドエリアと言い、乳がんを見逃したときによく使われる言葉です。我々放射線技師は、ある程度の読影ができるよう修練を積んでいますので、患者さんに断りをいれて2度、3度追加撮影を行う場合もあります。
乳腺撮影をするのは、男性それとも女性の放射線技師?
マンモグラフィー検診(スクーリング)が行われるようになると、新たな問題が発生することになりました。それは、シコリがあって病院に行き、検査をするのであれば、男性でもいかし方ないという考えもあったと思います。しかしスクーリングでは、女性の技師でなければ、撮影を拒否する受診者も増え、放射線技師を養成する大学には女性募集という病院が増えてきたのです。そのころから、医療系大学も男女の比率にはこだわらず入学させるようになってきておりました。それでも当時は女性技師が少なく、予約制をとったり、「男性放射線技師ならすぐ検査できますが、女性技師の場合は1時間待ち」ということもありました。また、指導する放射線技師も少なく、かなりの苦労があったようです。
乳腺の被ばくについて
乳腺被ばくについては数多くの論文があります。それらをまとめてみますと、放射線被ばく量は1方向につき0.05~0.08mSv、正面、側面の2方向の左右ですから4倍になります。日本では年齢制限はかけてはいませんが、アメリカでは年齢制限をかけております。つまり40歳未満の女性には乳腺撮影をすることに制限をかけているわけです。40歳以上になれば、乳腺癌になる確率は高くなることから40歳以上はマンモグラフィーは許可するということでしょう。当然のことですが、40歳過ぎると、妊娠の可能性も低くなることも考慮に入れて事かもしれません。それでは30歳代でスクリーニングを受けたい女性はどうすればよいのでしょうか。私は、直接病院へ行くことを進めます。乳腺の検査は、X線撮影だけではありません。乳腺エコーもあります。ただ、乳腺エコーには弱点があります。微細な石灰化が見つからないことです。微細な石灰化は、乳がん発見の大事なキーワードなります。この微細な石灰化を見逃さずに検査できるかどうかは担当者の技量に左右されます。こうしたことから考えてみますと、自己診断でしこりを感じるようでした、病院でマンモグラフーを撮ることをお勧めいたします。また「シコリはないけど、不安でー」という方も検診ではなく、病院へ行くことをお勧めいたします。

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