側弯症の生殖腺被ばくはそれほど重要視はされていません。それは、側弯症が脊椎の問題であり、骨盤は別物等いう考えがあるにほかなりません。しかしながら、我々放射線技師は、医師からⅩ線写真には骨盤を含めるように指示されており、生殖腺の一部をⅩ線に入れざるを得ません。ただ単純写真であれば、ある程度の知識さえあれば問題にしなくてもいいのですが、CT検査の場合は被ばく線量は多いのです。これから妊娠を考えている方にはぜひとも読んでいただけると嬉しいです。
側弯症と生殖腺被ばくとの関係
側弯症といえば、子供の病気だと思われますが、子供だけではありません。大人(若い女性)にも起こりえるものです。ただ子供の場合は、側弯症の診断や、経過観察のためにX線撮影は必要不可欠なものです。そのために放射線を受け、その累積線量は多大なものになっていることに注意しなければなりません。現在ではCR(コンピューター・ラジオグラフィー)が発展し被ばく線量も減っては来ております。とはいえ、過去において被ばくした累積線量を減らすことはできません。側弯症の経過観察や治療では定期的なⅩ線撮影による医療被曝は避けられません。生涯の累積線量が増加すると乳がんなどの確率的影響のリスクはわずかに上昇する可能性はありますが、側弯症の早期発見と進行防止のメリットのほうがはるかに上回ります。
側弯症とは脊椎の曲がりを伴う病態
思春期突発性側弯症は正面から見たとき直線に見えますが10度以上の側方湾曲と椎体回線を伴う状態として定義されます。10歳からの骨格成熟期までの間に発症いたします。側弯症の進行度は患者の年齢と骨年齢に依存します。すなわち2次性徴の初期段階が進行度の最も高い時期と言われております。骨年齢の評価には、リッサーサイン(腸骨稜の骨化の程度)や、タナーステージ(2次性徴の発達段階)が用いられます。側弯症の診断には視診、触診、画像検査があります。この画像検査によって、診断と治療方針の決定に中心的な役割を果たします。側弯症の患者さんは女性が多く、若年層に関して言えば、生まれたときには問題がなかったのだが、年齢とともに側彎し学校の検診で指摘された人が多いようです。
側弯症における生殖腺被ばくの現状
撮影方法は立位全長撮影(PA方向:後ろから前に向けて撮影)、正面像と側面像を撮影いたします。例外的に臥位による撮影撮影が追加されます。Ⅹ線撮影には以下のパターンに分かれます。①何も付けずに撮影:初めての撮影時及び経過観察時 ②コルセット装着時のみ撮影:初めてコルセットを付けたときに撮影する。以下経過観察 ③コルセットなしで撮影:通常はコルセットをしているが撮影時には、コルセットを外して撮影する。全脊椎のⅩ線撮影ではおよそ0.5mSv~1.0mSvの被ばく量であります。自然界から1年間に受ける被ばく量が2.4mSvであることから、数回の撮影で自然被ばくと同僚になります。とはいえ、側弯症になった場合の撮影回数によって、累積被ばく線量は異なります。撮影回数は病院、担当医によって異なりますが、軽度もしくは高校生以上であれば6ヶ月に1回、中程度もしくは思春期だと4ヶ月に1回ほど、大人になれば年1回ほどになります。とはいえ、実際の被ばくを抑えれるため、医療機関、放射線技術には様々な工夫がなされてきました。①防護服の着用。乳腺などを保護するために専用の防護エプロン、シ-ルドを使用する。②撮影方向の工夫:Ⅹ線が背中側から入射することで、乳腺の被ばく線量を減らすことができる。③非侵襲的な検査:3D超音波検査(被ばくを伴わない)、以下愛知医科大学病院のホームページより引用「通常のエックス線検査によって身体に異常が起きたり、がんが発生したという具体的な報告はありません。放射線の影響を心配するよりも、エックス線検査により病気があるのかないのか、あるとすればどんな病気なのか判断する情報を得るほうが患者さんにとって大切な利益におのあることなのです。エックス線検査の実施に当たっては、医師は検査適応の判断を慎重に行います。(医療行為の正当化)また撮影する医師や診療放射線技師は、放射線被ばくをできるかぎり少なくする努力(防護の最適化)を常に行って検査を実施いたします。
今後の生殖腺被ばくについて
エコーを使用して診断する病院はいまだ少ないです。ということは、どうしてもⅩ線を使用せざるを得ません。女性の場合は腰より下、骨盤の腸骨稜をが少し映るようにして撮影することです。女性の乳房の被ばくについては、PAのポジショニングで、左右を絞り込むことを念頭に置いて撮影することです。男性の場合は骨盤腔よりも下ですから、普通の絞り込みされ行えば、生殖腺被ばくをすることはないと思われます。ただし、CT検査を行う場合は、被ばく量が多いので下腹部へのプロテクターを放射線技師さんへお願いすることをお勧めいたします。

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