胃がんと診断された後は内視鏡または開腹で手術を行います。手術の後は、造影剤(通常使用するバリウムを用いず、水溶性造影剤を使用し)を用いて残胃(手術後の胃の名称であり、胃残は、胃の中に残っているものを言います。例:胃液、不消化な食物)のⅩ線検査を行います。ここでのⅩ線検査目的は、食道から小腸への通過状態の確認と、つなぎ目の確認です。以後順調に回復すれば退院となるのですが、検診等で行われる胃透視では十分な検査はできません。そこで、残胃そこで、残胃の撮影方法について論じます。
残胃って何?
手術された胃は、小さくなっています。通常の胃検査で行えば、バリウム、空気は小腸へどんどん流されてしまいます。体位の変化によってある程度緩やかに流すことはできますが、胃壁にバリウムを塗るることはほとんどできません。ここでは、胃壁にバリウムを塗り付け、かつ最大限胃を膨らませるテクニックを紹介いたします。
胃がんになった時、開腹して胃の手術を行います。手術して残った胃が残胃と言われているものです。ところが現在では、開腹せずに内視鏡を使用して手術を行っていますが、この状態での胃は残胃とは言いません。開腹手術には、大きく分けて2種類の方法があります。ビルロードⅠ法、もしくはビルロードⅡ法と言われているものです。ビルロードⅠ法とは癌を切除し、残った胃と十二指腸をつなぐ方法です。それに対して、ビルロードⅡ法は手術して残った胃と小腸をつなぐ方法です。現在はビルロードⅠ法が多く用いられていますが、ビルロードⅡ法の変形(ルーワイ法)が行われています。腸をYの字型につなくことによって、食道へ流れる胆汁や膵液を逆流を防ぐことができます。
手術直後の残胃Ⅹ線検査
開腹して手術した後は必ず、残胃の術後状態を確認するために造影剤を使用したⅩ線検査を行います。食道からの通過を確認するだけではなく、胃と腸のつなぎ目の異常がないことを確認するのが目的です。患者さんの状態にもよりますが、多くはガストログラフィン(水溶性ヨウド造影剤)を使用して行います。しかし、術後の経過が良ければ、バリウムを用いて検査を行います。がストログラフィン(水溶性造影剤)を用いないのは、単価が高いこともありますが、それだけではありません。ガストログラフィンは濃度が薄いため、手術後の胃の壁の詳細を読み取ることができないのです。ですから、検査目的によって、使用される造影剤は異なります。
従来のⅩ線バリウム検査方法とは
残胃のⅩ線検査は、手術をしていない胃の検査と同じようにはできません。一般的な検査方法は、顆粒状発泡剤(気泡を作り出す薬剤)と少量の水を飲み、その後からバリウムを飲んでいただくのですが、胃が膨らみすぎて、バリウムが飲めない方も時には存在いたします。またバリウムを飲んでいる最中にゲップしてしまい、再度発泡剤を追加する場合もあります。この後ロ-リングを繰り返すことによって胃壁にバリウムを塗り付け、胃の二重造影像のⅩ線写真を撮ることができるのです
残胃のⅩ線撮影検査法とは
残胃であっても胃壁を診断するためには、二重造影像は必要です。そのためには胃の手術を行っていない受検者と同様の方法ではバリウムは小腸へと流れてしまいます。もちろんバリウムを流さないために透視撮影台を少し倒して行います。(倒しすぎるとバリウムが気管に入る可能性があるので注意)それだけは、バリウムが流れてしまうので、左側を向かせて斜位にさせます。これで少しはバリウムは流れ難くさせることができます。つまり最初に少量の水と発泡剤を飲んだ時点で食道、胃の通過をよくさせてくれることになります。よって、この後に、バリウムを飲んでもバリウムは胃の壁に塗ることはできません。
バリウムを少量飲みます。気管にバリウムが入っていかないことを確認します。確認後、再度1口飲んでいただきます。立位ではほとんどが流れてしまうのですが、身体が半臥位の状態なので急激には流れません。また斜位(通過する小腸を上向きにする)になっているため流れを食い止めてくれます。患者さんには飲める範囲で飲むよう指示を与えます。ある程度(100mlくらい)飲み終えたら、左回り、右回りにローリングを行うよう指示をします。残胃からバリウムはどんどん流れ出ますが、気にする必要はありません。残胃の患者さんにドンドン胃の中にバリウムが残っている状態、時間的には短いのですが、ローリング、又一口飲む繰り返します。患者さんの様子をうかがいながら、適当なところで、バリウムを飲むのを切り上げ、発泡剤と少量の水を飲ませます。これで、胃が膨らみ、きれいな二重造影像が出来上がります。ここからは、正面像、だい1斜位像、第2斜位像、側面像とシャスキー(半座位の第2斜位像)など2重造影像を撮りまくって終了となります。
